作品詳細

The Servile State/奴隷の国家

ISBN: 9784875714811 C1382

価格:¥1,760(税込)

著作者よみ

ひれあべろっく

著者名

Hilaire Belloc 著

著者名2

野谷啓二 編注

出版社

開文社出版

ジャンル

論説・随筆

判型A5/69頁

著者ヒレア・べロック(1870−1953)は、日本での知名度は低いが英国では20世紀前半の英国文学界を代表する作家の一人とみなされており、本書『奴隷の国家』(1912)はJ. S.ミルの『自由論』に匹敵する名著と評されている。
 わが国では今頃「働き方改革」が政策課題になっていて笑止である。人間どのように働くかは、その人の実存と深くかかわる、人生を左右するような価値の哲学の問題である。
べロックの哲学の最重要点は、人は働く「自由」を確保しなければならない、ということにある。彼は資本主義も社会主義も人間性の根本である自由を奪い、人間を隷属状態につなぐものだという本質を見抜いていた。この一世紀の歴史を見れば、ソ連型社会主義は崩壊し、資本主義への疑問と懸念を深める事態が進行し、さらに80年代以降民営化や規制緩和を進め投資をキーワードとする新自由主義が登場して、世界の様々な地域で格差や貧困を拡大させている現実は、ベロックの洞察の正しさを裏付ける。日本でもおどろおどろしい “社畜”なる言葉が普通に使われる事態に至っている。
 ベロックは、人間が人間本来の自由を獲得できるのは第三の道、「私有財産分配主義、あるいは分産主義」(Distributism)であると主張する。少数の資本家のために働くのでもなく、社会主義的な社会で“国家畜”として官僚のために働くのでもない、まさに自分自身のために働く社会の実現を目指して、全員が生産手段を所有する自由人たるべきだと主張したのであった。今こそベロックを読むべき時期到来である。
 お互い語り合うに値する自己と知を有する真のグローバル人となるために不可欠な、批判的思考を養うのに最適なテキストである。